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意外と知らない、ロキソニンVSカロナール

投稿日:2023年2月8日

カテゴリ:院長ブログ

ロキソニンといえば、医師、歯科医師に限らず、広く一般的に知られている解熱鎮痛剤です。

これと同じくらい有名な解熱鎮痛剤にカロナールというお薬があります。

一般的なイメージではロキソニンは強めでカロナールは弱いけれど子供やお年寄りにも使えるようなイメージがあると思います。

少し難しい内容になりますがとても大事なお話なので、お読み頂きたく存じます。

ロキソニンもカロナールも一般的には飲み薬です。

食道を通り、胃を通過し、ロキソニンは腎臓で代謝され、カロナールは肝臓で代謝されます。

新型コロナの解熱鎮痛剤としてカロナールが使われていますが、これは、コロナウイルスに感染すると、高熱が出ることが多く、発汗し、体内の水分が凝縮されてしまうので、腎臓に負担が大きくなります。ロキソニンでも解熱作用はもちろんあるのですが、腎臓にさらなる負担を強いることになるのでカロナールを処方します。

歯科医師あるあるで、二日酔いの時にこっそりロキソニンを飲む先生も多いと思いますがこれは肝臓に負担をかけすぎないように、腎臓代謝のロキソニンを選択しているというわけです。

歯科では発熱を扱う疾患を相手にするわけではないので、炎症を引かせる効果が強いロキソニンを選ぶことが多いと思います。

しかし、カロナールにはロキソニンには無い、意外な薬効が知られております。

それは、疼痛閾値の上昇です。閾値について知らない人も多いと思いますのでさらっとお話すると、子供のころに友達としっぺをして遊んだと思います。

そのとき、力の弱い子にしっぺをされても全然痛くないのに力の強い子にしっぺをされると凄く痛かったですよね。もし、疼痛閾値がめちゃ低下すると力の弱い子にしっぺされても痛く感じてしまい、また、疼痛閾値が上昇するといじめっ子にすごい勢いでしっぺされても痛く感じなくなります。

痛みというのは脳が痛覚を理解し発現しますので、カロナールは脳に作用する仮設があります。ロキソニンは脳には作用せず、炎症のある部位に炎症を抑えるように作用します。

歯科では、近年、非歯源性歯痛という、歯には異常が見られないのに歯が痛くなる病気が注目されており、なにを隠そう、この私もその痛みに悩まされておりました。そのような患者さんにロキソニンは効いたり効かなかったりまちまちです。非歯源性歯痛の半数以上は筋ー筋膜の関連痛が原因と言われており、筋肉の炎症が和らげば痛みも和らぎます。しかし、炎症がどこにもない歯の痛みの場合はロキソニンは意味がないですね。

顎関節学会が、顎関節症の痛みのコントロールでカロナールを推奨しているのはこれが原因なのかもしれませんね。(すいません、顎関節学会に理由聞いたわけではないので間違っていたらすみません)

カロナールは日本で一般的に処方される量では痛みのコントロールには不十分というお話もあります。

鎮痛剤の選択には歯科医師、薬剤師と相談の上、慎重にご判断いただけますといいかと思います。

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