虫歯治療
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虫歯とは
深さの段階によって変化する虫歯治療
歯が細菌の代謝により生じた酸により、溶かされてしまった状態のことを虫歯と呼びます。歯は骨やその他の組織と違い、再生する機構がないために一度始まると、進むかその状態を維持するかのどちらかで、治ることはありません。
深さによる分類があり、C1はエナメル質までC2は象牙質まで、C3は神経まで達した虫歯を言います。C0は虫歯になりかけている状態、C4は保存が困難な状態を指します。よく「虫歯がしみていたが暫く我慢したら治った」ということを言われますが、それは治った訳ではなく神経が死んでしまい、痛みを感じることができなくなっている可能性があります。
また、それを放置していると細菌が増殖し続け、顎の骨を溶かす『根尖性歯周炎』という病気に発展することがあります。痛いから治療するより、痛みが出る前に予防&治療をすることをおすすめします。
虫歯治療の種類(虫歯で削ってしまったあとの3つの修復治療法)
虫歯にはなってしまった部分は削ってしまうか、薬品等で虫歯組織を不活性化させる必要があります。では、削ってしまった場合にはどのように修復するのか治療法を3パターンご紹介します。
コンポジットレジン修復(以下CR)
前歯の治療のゴールデンスタンダードです。現在、臼歯の治療も可能なCRも出てきました。しかし、そのクオリティは術者の技術にかなり左右されてしまいます。
以下にご紹介するインレー治療より削る量が非常に少なくすることが出来ます。削る量が少ない方が術後痛もすくないと言われています。また、コンポジットレジンはここ10年で一番発展した歯科材料と言われており、フィラー(セラミックの粒子)の含有率は80%以上のものがほとんどです。よって、セラミックに近いものになってきたため、変色が少なくなってきました。
インレー(つめ物)による虫歯修復
金属もしくはセラミックを型取りして技工士に作って もらいます。保険診療では寒天で型取りをしますので歪んでしまうことがあります。歪んだことにより不適合が生じ、 隙間から虫歯が再発することもあります。シリコンで型をとると非常に適合が良くなりますが触媒にプラチナを使うために非常に高価であるため、保険診療で使われることはほとんどありません。インレー修復の利点は施術の簡易さです。しかし、維持形態という、インレーが外れないようにするために余分な部分を削らなくてはいけません。
虫歯を治すために虫歯ではない歯を削るという矛盾を抱えており、MI(なるべく歯を削らない治療コンセプト)という考えが主流になっている現代では少しずつ減っています。
※ 銀歯のインレーだけでなく、白いセラミックのインレーや、プラスチックとセラミックの混合材であるハイブリッドセラミックのインレーもございます。
クラウン(被せ物)による虫歯修復
神経を取った歯などに歯を全周削り、かぶせる治療を クラウンと言います。クラウンは一般的には神経を取った 歯に行う治療ですが、虫歯が広範囲の場合、神経があってもクラウンを選択することがあります。写真はセラミックのクラウンです。
※ 銀歯のクラウンの場合は保険診療対象ですが、白いセラミックの被せ物は自由診療の対象となりますのでご了承ください。インレーにて何度も再修復をされた歯は非常に亀裂が入りやすいことが知られています。亀裂はクラウンにて歯をくるむことで予防できるために、大きいインレーを入れる場合はクラウンにしてしまうことが近年では主流になってきているようです。 しかし、クラウンのように全周にわたり歯を削ることで10%程度の確立で神経が死んでしまうことがわかっています。歯科医師も削りたくて歯を削っているわけではありません。そもそもクラウンにならないようにしっかり予防に努めることが重要です。
虫歯治療の期間
コンポジットレジン | 1回で治療を終えることが可能です。 |
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インレー | かたどりと装着に2日の来院日数が必要です。インレーを作るのは技工士が行うことが多いため、10日ほど時間がかかることが多いです。 |
クラウン | インレー同様、かたどりと装着に2日の来院日数が必要です。同じく10日前後かかります。 |
虫歯治療のリスク・注意
局所麻酔を用いて治療しますので、高血圧などの全身リスクがある場合は歯科医師に必ずお伝えください。上が180以上ある場合は麻酔の中にアドレナリンが入っているために内科で血圧をコントロールしてから治療を始めてください。レントゲンで虫歯の深さを確認することがありますので、妊娠中の方は歯科医師と相談してください。部位により麻酔が効きにくいことがあります。痛みを感じた際は口を動かすと大変危険です。歯科医師には手を上げて伝えましょう。
正確な被せ物を作るためには・・・
歯肉圧排
圧排糸とは、写真のように、歯を削るときに歯と歯茎の溝(歯周ポケットなんて呼ばれています)に糸を入れることを指します。
圧排糸を使わないで型を取ると上の写真のようになります。歯肉圧排を何故行うかというと、歯科技工士は型どりをしたものを石膏に起こして技工作業を行うのですが、石膏は単色のため、どこまでが歯でどこから歯ぐきなのかわからなくなってしまいます。(写真参照)しかし、圧排糸を入れることで、どこまでが歯でどこからが歯茎なのかが明確になります。歯肉圧排を行わず、その部分が不明瞭だと、いくら技術のある技工士が作成してもぴったりした被せ物が出来なくなってしまいます。
またシリコンを用いることにより、副模型を作成し、(写真参照)歯肉からの立ち上がりがうまくいっているか確認できます。保険で用いられる寒天+アルジネートではすぐに変形するため一度しか模型が作れないですし、歯茎の下まで型が取れてしまうと強度不足のため変形してしまいます。さらに、マイクロスコープ を用いると、0.数ミリの世界で削ることができるため、より精度の高い技工物が出来ます。
また、圧排糸、マイクロスコープを組み合わせることで、削るときに出血などが従来ではあった症例でも、出血をほとんど無くすことが出来ます。
出血により、型どりが不鮮明になることがありますので、患者さんの不快症状を無くすのと、技工物の精度を高めることの両方に貢献すると言えます。
マイクロスコープを用いて適合確認
歯を削るときに使うだけでなく、適合の確認にもマイクロスコープは重宝されています。動画のように歯茎に針金をいれて、歯肉の中から被せ物がしっかり適合しているか確認することができます。マイクロスコープがなければ、手先の感覚頼みになってしまします。