下顎前歯の根管治療は難しい
タイトルにある通り、下顎前歯の根管治療は非常に難しいです。
理由としましては、
1、根管の形態が複雑
2、歯が小さく、大きく削去することができない
3、実はマイクロスコープで見ずらい部位
ということが挙げられます。
1から解説します。
今月の日本歯内療法学会の会報にもある通り、日本人下顎前歯は単根でも
男性Ⅰ型91% Ⅲ型9%
女性Ⅰ型92% Ⅲ型7% Ⅴ型1%
とバリエーション豊かで、2根の可能性も8.5%あるのです。
大学教育では下顎前歯は何根あるか?と言われれば1根管と答えないといけないのに、現実ではこんな感じです。
大学教育なんて全然臨床では使えないんですね。
さて、今回のケースです。
歯内療法医が嫌がる、下顎前歯です。
骨の透過像の配列がサークル上になっているのが解りますでしょうか?
ひょっとしたらアクチノマイセスに感染しているのかもしれないとか考えつつ治療を始めます。
白い線はラバーダムフレームです。
根管充填後、3カ月。だいぶ治ってきています。
根管治療後1年。かなり良くなっています。
さて、この症例、1根性です。
下顎前歯はあまり虫歯にならないことで知られています。
この患者さんも審美治療目的で虫歯がない歯を削ってこのような大きな病気を作ってしまいました。
審美歯科に注目が集まる昨今、わたしは見た目よりもっと大事なものを患者さんに伝えたく、この症例を出させてもらいました。
下顎前歯は難易度が高いけれど私が再根管治療をさせてもらった多くのケースはもともと虫歯ではないケースがあまりに多い。
歯科っていろんな意味で難しいですね・・・