虫歯は思いのほか深いことがあります
投稿日:2022年2月25日
カテゴリ:根管治療(歯の神経の治療)
この歯ですが、一見、虫歯には見えません。
しかし、遠心に、、
神経に達しそうな巨大な虫歯が・・・。
他の歯科医院さんで神経をとりますとのことで、慌てていらっしゃいました。
術前の診査で、神経は正常の範囲内と判っていたため、そーっと手作業で虫歯を取り、(ドリルは使用しません)
このようにコンポジットレジン充填しました。
術前の神経の状態で処置は変わってきますが、今回は神経を触れずに治療できました。
神経に達している場合はMTAを使い、神経の保存を試みますが、触らないに越したことはありません。
このような症例で深いところに水酸化カルシウム系のセメントを入れるべきか、入れなくても大丈夫かという議論がありますが、大昔、ウサギを使った実験で、一層、虫歯を残した状態で虫歯の再石灰化を試みる、シールドレストレーションという治療の再現を行う際に、石灰化した部分のカルシウムは何が由来か放射線同位体で調べるというものがあります。
結果としては、再石灰化に使われたカルシウムイオンは血液由来のもので、虫歯に置いてきた水酸化カルシウムは、カルシウムとして直接取り込まれるわけではないという結論に至りました。なので、現在は水酸化カルシウムを深い虫歯に入れる(ダイカルという製品が昔はよく使われました)ということは主流ではありません。私も開業してもうすぐ9年ですがダイカルは買ったことすらありません。接着がすこし弱い部分ができるのも少し不安ですし。
こんな感じで、虫歯も歯周病も、気が付かないうちに進んでいくことが多いですので、時々、全体のレントゲンを撮るのもいいのかもしれません。
私は、色々理由があり、あまり全体のレントゲンを撮らないので、撮影を希望される患者様はお申し付けくださいませ。
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