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何故か病変が出来ていない症例

投稿日:2018年11月26日

カテゴリ:院長ブログ 根管治療(歯の神経の治療)

虫歯により、被せ物が脱離した症例です。

さて、根管充填剤が口腔内でむき出しになり、さらに虫歯も出来ている本症例ですが、なぜ、根の先に黒い影が出来ていないのでしょうか。

様々な実験から、根管充填剤は歯冠側からの菌の漏洩は防ぐ作用は無いというデータがあります。

これは沢山似たような実験がなされており、100%と言えるものが少ない医学のなかでは数少ない100%断言できる現象です。

だから、根管充填の後は、なるべく早く、築造(土台を立てる)ことをした方がいいし、その際にラバーダムは必須です。

さて、では、なぜこの症例は病気が出来ていないのでしょう。

考えられる原因の一つが菌の種類です。

毒性の強い菌は容易に病変を引き起こしますが、毒性が少ない菌に主に感染すると、後から毒性の強い菌が上から漏れてきても毒性の少ない菌がお互いのテリトリーを守るようにして、結果的に有利に働くというものです。グラム陰性菌は毒性が強く病変を速やかに拡大します。

もう一つは宿主の免疫力が強い(患者さんの免疫が強い)ということも挙げられます。

SiqueraJr という先生の仮説によると、病変は宿主の免疫力により、同じ菌種、菌数でも生じたり生じなかったりするというものです。これも信用できる調査ですので、病気が出来るのか出来ないのかは、この二つが関わってきます。

 

根尖に病変ができやすい患者さん、出来にくい患者さんが存在するのは臨床に携わる先生ならば必ず経験するはずです。それは、こんなところに問題があるんですね(^^♪

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