歯の移植についてPart2
投稿日:2016年6月15日
カテゴリ:院長ブログ 根管治療(歯の神経の治療)
久々に移植について触れてみようかと思います。
それは、柳沢先生と一緒にプレゼンをするために、再植の症例をまとめていた時に、ふと思ったのですが、「抜歯窩側の歯根膜って、あんまり要らないんじゃないか・・・」ということです。
こんなことを言ってしまうと、やはり、いろいろと反論がありそうなんで、声を高らかに言えませんが、なんでこんなことを最近思うかと言うと、
咬合時の痛みを主訴に来院
コアを外すと深い虫歯と破折線が
深いメタルコアって破折の原因になりますよね
反対側に樋状根チックな水平埋伏が!!
移植には不向きかもしれませんが、以前のブログにも出した通り、水平埋伏は結構使えます。(抜歯にはコツがいりますが)
移植後、補綴時(PO2か月後)
口蓋側に張り出しが大きい。本来の歯と100%同じ物にはならないです。
もともとカリエスではないので、縁上マージンで補綴できます(^_-)-☆
とても上手くいってくれた症例と思ってます。メンテに来てくれるたび、しっかり使えているそうで聞いてるこっちがうれしくなります。
で、この症例、26番は3根。48番は単根(?)なわけです。
ふつうには入らないので、目茶苦茶骨を落として入れております。
すると、歯根膜なんてソケット側はあんまりないですよね?
別の症例
遠心根が破折しています
8が廷出していて、P的にも好ましくない。かつ5,7の歯質を削るのは倫理的にどうかと思い、移植を選択しました。
カリエスもひどかったんで、ちょうどいい。(PO1Day)
良い位置ですね
この症例、遠心根がアンキローシスしておりまして、骨メッチャ削りました。
アシストについてくれた先生も、「どこまで歯なのかわからなかった」という感じ。
経過はまだまだ見なきゃいけないですが、今のところ経過は良好です。補綴したらまた紹介したいです。
アンキロしてるくらいだもんだから、歯根膜なんて無いですよね。
お恥ずかしい話ですが、実は数か月前、2連続で上の8を上の6に移植というのを失敗しました。
2症例とも、骨を削らずスポッと入った症例で、ソケット側の歯根膜の事も考え、ソウハは最小に抑えました。
しかし、2症例とも、抜糸を待たず抜けてしまいました。
思えば2症例とも、出血が少なく、対照的に骨をガンガン削った症例は言わずもがな出血しまくります。そこで、「移植に大事なのはソケット側の歯根膜ではなく、十分な出血なのでは・・・」と思いめぐりました。
石井先生の外科コースで印象深かったのが意図的再植の時
「原法では、不良肉芽はソウハしませんが、僕はソウハします」とおっしゃられていたことを思うと、ソケット側の歯根膜は保存にこだわる必要が無いような気がします。
話は飛びますがMTAは動物実験で、セメント質を誘導できています。
セメント質が出来る
↓
歯根膜が出来る
↓
骨が再生する
というのが、今MTAで考えられている凄い所です。
じゃあ、
ソケットの歯根膜を残す
↓
セメント質が出来る??
↓
?????????笑
と思うわけです。(いや、反論はあると思います。そっとしておいてください。ハート弱いので)
抜歯と同日でしか、保険で移植出来ないのが悔しいですね。
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